37 川尻中の谷光明真言板碑

 

光明真言は密教で唱導する真言の一つで、この陀羅尼を唱えることによって、仏の光明を得て、諸々の罪が除かれるといわれている。光明真言本尊は大日如来あるいは阿弥陀如来である。

川尻中の谷の板碑は、この陀羅尼を梵字で記したものである。碑の高さは約1.2b、正面上部に円形に左下から右廻りに「オン・ア・ボ・ギャ・ベイ・ロ・シャ・ナフ・マ・カ・ボ・ダラ・マ・ニ・ハン・ドフマ・ジンバ・ラ・ハラ・バ・リタ・ヤ・フン・ハッ・タ」と記す。同じく梵字で円内に胎蔵界大日如来の真言を刻み、円外下部左右に「ソワ・カ」、その下に一字金輪の種子、またそれらの左右に「愛染明王」「不動明王」の各種子が刻んである。右側面に「寛文十二年念仏同行」、左側面に「二月十五日廿三人敬白」と刻んでいる。寛文十二年(1672)は江戸時代初期である。

本町の真言宗寺院には、川尻に法輪寺、吉川に高代寺がある。江戸時代には、余野に無本寺西之坊、木代に善福寺があった。